安倍首相の言う「携帯電話料金の引き下げ」の意図を考える

以前の安倍首相のこの発言によって、安いプランを作るような動きが出始めています。あちこちでこの発言を巡って議論がされていますが、単純に通信量の小さいプランを作れ、という訳ではないと私は考えています。

実質値上げをした直後

そもそも、昨年(2015年)7月ごろから各社は新しい料金プランを打ち出してきている。通話定額をベースとしており、今まであまりテコ入れをしてきていなかった通話に関して大きな変更を行っています。通話料に関してはLINE電話や050番号によるIPフォンに安いプランや定額制は任せておいて、自分たちはデータ通信で稼ぐ、という棲み分けをしていたかと思っていましたが、ここに来て通話をしようがしまいが通話定額に入れてしまえ、という方針に変更になったようです。

この新しいプランは実質値上げとなっており、着信専用のようにして利用している人にとってもなぜか通話定額(後に通話時間を絞ったプランは出るにせよ)を強要し、ほとんどデータ通信を使わない人にとっても高いデータ通信量が必要となるように変更しました。

kakakuhyo

各社の新旧価格を比較した物です。まず、今まで7GBで固定だったデータプランをいくつかのデータ定額プランを作り、通話は定額プランを作りましたよ。というのが2015年にできた新しいプランです。

各社ともLTEの本格的な普及のため、価格を上げてきています。特にひどいのがデータ通信料金です。

約23%の上昇

7GBで5700円だったデータ通信料が5GBの場合には5000円と700円下がりました。しかし、その分データ通信で利用出来る量としては2GB下がっています。これをギガバイト単価で計算すると

  • 旧プランは約814円
  • 新プランは1000円

となっています。これは実質値上げと言えるでしょう。ちなみに、8GB使える料金体系もありますが、こちらは3社とも横並びで6700円、これを同じようにギガバイト単価で計算すると

  • 837.5円

と上げ幅は小さくなりますが、こちらも値上げになっています。値下げになったのは10GB以上のプランで、10GBで一番安いauで8000円、つまりギガバイト単価では

  • 800円

となります。ここでやっと旧プランに比べて2%以下とは言え価格が下がります。これだけ実質的な値上げをしておいて、3社の言い分としては大まかに言えばこんな感じでした。

端末代金を安くしている

通信料が高いわけではない。端末代金の割賦とセットになったプランだから高く感じるだけ。MNPなどの販促費は必要。公平性はある。

まあ、ユーザーをだますのが彼らの仕事なので言いたいことはわかりますが、どう考えても公平性はなく、MNPによるキャリア移動は家族ぐるみで長期契約しているユーザーには不利益となり、MNP乞食と言われるキャッシュバック目当ての金になっていないユーザーへの優遇となっています。こんなのどこが公平なんだっつーの。

また、通信料もしれっと値上げしておいて、その分営業利益が増えました。でも、通信料は高くありません。こんな理屈が通じると思っているのが面白い。端末代金の2年契約による割引も不思議です。結果として、2年以上使うと料金が高くなる。2年おきに機種変更や契約変更、MNPをすることを推奨している料金プランです。逆に言うと、そういった料金プランしかありません。

発言の意図は

私は営業利益が上がっているにもかかわらず料金の値上げなど、おかしな状況になっている事を是正せよ、という意味の発言だったのだと考えています。なので、1GBで2900円という途方もない高額データ通信料と通話定額を合わせて4900円からにしました。なんていうのは頭に蛆でもわいているんじゃないかと感じています。これで、価格を安くしましたなんて思っているんですからビックリです。

企業は営利目的なので、利益を上げなければいけません。しかし、寡占状態となっている状況下で営業利益が上がっていくのは単に「ぼったくり」、こんなのがまかり通っているのが本来はおかしいことです。そこがおかしいという指摘を曲がりくねった理屈で、あえてそう考えて通信量の少ないプランを出せと総務省も言ったわけです。まあ、総務省だって国民の生活なんて考えてませんから。

 

 

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