チロル、10円の菓子チロルチョコのメーカーである。
現在では、10円だけではなく20円や30円のチョコレートも販売している。
しかし、今だに10円チロルチョコは健在で、子供から大人まで親しまれている。
チロルチョコは1979年に生まれた。フレーバーはコーヒーヌガーで、甘みの強いチョコレートと、内側に入っている少し苦いコーヒー味のヌガーの取合せは絶品であった。
その後、内側のヌガーをワイン風にしたWineや、アーモンド等々さまざまなフレーバーを出している。
特にここ数年は毎年いくつかの種類のフレーバーを出している。
期間限定やタイアップ物もあるが、その時代ごとに特徴のある物を出すのは容易な事ではない。
特に2009年は、パッケージ変更を含めると、実に69種ものフレーバーが出ている。
驚異的ヒットをとばした【きなこもち】をリリースした2003年は、7種類の新作だった事を考えると、2009年のリリースが異常とも言えるのが分かるだろう。
しかし、こういった開発努力は、単価の安い商品ながら並々ならぬ物を感じる。
チロルの定番フレーバーは、【チョコレート】だ。
あたり前に聞こえるだろうが、実は重要なことなのだ。
日本の公正取引法では、チョコレート以外に準チョコレートというものがある。
同じチョコレートを名乗っていても、中身が大きく違う事があったため、規準を設けた。
その中で、チョコレートに分類されるのは、カカオ分35%以上・ココアバター18%以上で、水分3%以下であること。
ただし、カカオ分21%以上・ココアバター18%以上、かつ、乳固形分とカカオ分の合計が35%以上・乳脂肪分3%以上、水分3%以下で、カカオ分の代わりに乳固形分を使用することが可能。(Wikipediaより引用)
何やら分かりにくいが、早い話カ力オが、多いって事だ。
これに対して、準チョコレートはカカオ分15%以上・ココアバター3%以上。
脂肪分18%以上で、水分3%以下であること。
100円ショップ等で売られているチョコレートは、準チョコレートが多くどことなく味が素っ気ない。
力力オが20%以上近く違うのだから、当然と言えば当然だろう。
さまざまなフレーバーを使うため、近年のチ口ルは準チョコレートも多いが定番となっている【コーヒーヌガー】や【アーモンド】、【BIS】はチョコレートだ。
カカオが準チョコレートより多いため、味も濃い。これがチロルのおいしい理由の一つだろう。
分類がチョコレートではないフレーバーがまずいと言っている訳ではない。
ただ、メインとなるフレーバーは、やはりチョコレートであってほしいと感じる。
ここ数年、チロルに大きなライバルが現れた。
チロルほど、知名度は高くなかった有楽製菓が1994年に発売したブラックサンダーがそれである。
大学生協や一部コンビニで売られていたブラックサンダーは、体操選手がTVの前で好物だと言った事から、一気に知名度があがりメジャー化した。
ココアクッキークランチの軽い食感と、ミルクチョコレートの組み合わせは相性が良く、人気の商品だ。
若年層をメインターゲットにしているだけに、コラボしているものもどことなくオシャレなものが多い。
ちなみに、駄菓子屋では鳴かず飛ばずだったんだそうだ。確かにあの味付けは子供よりも10代後半から20代に受ける味なのかもしれない。
このブラックサンダーは、準チョコレート菓子である。
これは、準チョコレートを60%以下の使用量で作られる時に付けられる種別だ。
売り値30円という限られた価格で販売するため、仕方ない事だろうし、チョコレートを軽い味にすることで重たく感じさせない様にする事もできる。
だが、やはりチョコレート菓子なので、チョコレートには気を使ってほしい。
もちろん準チョコレート菓子だから悪いと言っている訳ではない。
相性や、価格との兼ね合いもある。
ただ、どうしても準チョコレートは安物のイメージがあるのは私だけだろうか。
現在では、このブラックサンダーとチロルチョコは、安いチョコレート菓子では、強力なシェア争いをしている。
コラボ商品は数多くあるが、本体は一つのフレーバーを続けるブラックサンダー、コラボもあるが、本体で様々なフレーバーをリリースするチロル。
チロルチョコの本業を重視する戦略と、ブラックサンダーの商品はそのままで、他業種へのコラボを強加する有楽製菓。
どちらが勝つという訳では無いだろうが、これからも注目していきたい。
なお、チロルチョコのサイトへ行くと、歴代のチロルチョコのパッケージが見られる。
ここ数年の急激な数の多さは明らかに2008年の北京オリンピック以降に延びているブラックサンダーを意識しているように思える。
懐かしい物もあるため、一度見てみるのも良いだろう。