日本メーカーのノートパソコンはいつまでJEITA1.0を使うんだろう

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日本メーカー製ノートパソコンはバッテリー駆動時間を計るためによくJEITAバッテリ動作時間測定法を使っています。
この規格は平成13年に制定されたもので、11年前の基準になっている。
今回はこの古い規格であるJEITA1.0について少し考えてみたいと思う。

 

JEITAとは何の組織だろう。

JEITAとは、一般社団法人電子情報技術産業協会の事である。早い話日本のコンピューター黎明期から協力体制を作り、規格制定などを行っているところである。
一般的に目にすることはほとんど無いが、かつてはパソコンのメモリなども規格制定を行うために尽力をしており、特にPCカード(PCMCIAカード)の制定には大きく尽力している。
前身の組織は1958年にあったことから、古くからある組織であり、協会の会員には日立やNEC、東芝、沖電気など日本の黎明期のコンピューターメーカーが名を連ねている。
そして、そのJEITAが制定したノートパソコンのバッテリー駆動時間を計るための基準。それがJEITAバッテリー駆動時間測定法というもので、バージョン1.0が制定されている。

条件が軽すぎるJEITAバッテリー駆動時間測定法1.0

このJEITAバッテリー駆動時間測定法1.0(以下JEIDA1.0)というものは、前述の通り1999年に制定されており、かなり古いものとなっている。
パソコンの性能も然る事ながらバッテリーの技術も大きく向上しており、今では以前と違って実働時間で4時間、5時間と駆動するノートパソコンが数多く出てきている。
JEITA1.0での測定は2つの方法を用いる。その平均値を駆動時間として表示して良いこととなっているが、測定方法は古いだけに緩い設定となっており、実用沿ったとは全く言えないもの担っている。
測定方法は以下の通り。

  • MPEG-1(動画ファイルのフォーマットの1つ、ビデオCDやDVDなどで利用されている)を20cd(カンデラ:光量の単位の一つ)以上の明るさで連続再生をする。 音声に関しては出す、出さないは問わない。
  • 画面を消さなければ最小光度でよく、そのまま放置する。キー入力や操作は一切行わずに画面さえ表示されていればいい。
  • 二つの測定結果の平均値をバッテリー駆動時間として表記する。

まず20cdというのがどれくらいの明るさか、明るさは言葉では表しにくいのでたとえて言うならば…晴れた日の屋外、夕方になって少し日が落ちてきたなあ、というのが3万cd程度とされています。
また、自転車の照明は400cd以上無ければいけないという規定があります。
現在一般的に売られている安価な液晶ディスプレイは最大の明るさが250cd~300cd程度。 
20cdがどれだけくらいかはわかるでしょうか。そして、もう一つの基準は言うに及ばず。ただ電源入れて最小光度で放置、キー入力も何もしない。そんなのテストでも何でも無い。
その2つの平均値をひょうひょうと表示させているのが今の日本メーカーです。

消費者をだますためのバッテリー測定法と海外メーカー

これら緩い設定でのバッテリー駆動時間は、カタログスペックを少しでもよく見せようとするメーカーの策略以外の何物でも無く、消費者に対して誤解を招くようにすることが正しいと思っているのかもしれない。
これらのことから、一般的にはカタログに載っているバッテリー駆動時間は当てにならないと切り捨てられています。
仕方がありませんね、こんなひどい測定法を使っているのであれば…。
実情に沿った方法でなぜ測定をしないのかは疑問ですが、外国メーカーでは内部にflashなどを組み込んでベンチマークテストを行うMobileMark 2007 battery benchmarkというものがあります。
こちらの方が現実に沿った測定が出来るようで、外国ではほぼこの測定法が使われています。
細かい測定方法は有料アプリケーションのため調べられていませんが、少なくとも詐欺まがいのJEITA1.0とは全く違う内容のようです。
誠実と言われる日本人ですが、今ではいかに消費者をだますか、いかにカタログ上見栄えを良くするのかが重視されてしまっているようです。

見直すつもりは無いのだろうか

消費者からかけ離れた駆動時間しか持たないノートパソコンと言われつつも日本メーカーはJEITA1.0での測定を辞めないところが多い。
そして、実際の駆動時間が長く安価な外国メーカーのパソコンが多く売れるようになってきて日本メーカーとして個人向けパソコンを自社生産しているところはほとんど無いに等しい。
そして、じり貧となり今ではNECですらLenovoと合併会社を作り、そこでNECブランドのパソコンを販売しているし、パナソニックはレッツノートシリーズのみの生産。東芝もノートパソコンだけを生産しており、デスクトップ型パソコンは富士通とNEC以外は外国メーカーやショップブランドパソコンが多い現状だ。
ただ、価格だけでは無く少しずつ積み重ねていった信頼を失っていった結果では無いのだろうか。
そして、実際にはバッテリー駆動はほとんど出来ないにもかかわらず、カタログスペック4時間などと謳うような不信感をあおる商法を行ってきたツケが回ってきているのでは無いだろうか。
JEITA1.0を更新するつもりは無いのかもしれないが、ならばこの測定法でカタログに載せるのはもうやめにしてほしい。
ま、止めないんだろうけどね。見かけ上すごいように見えるから。

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