ネットブック、一世風靡したネットブックはどこへ消えていったのか~その2~

前回に引き続き、ネットブックの事を書きたい。
今回はあのキャリアの愚痴も含まれているかもしれません。

少し話は前後するが

Eee以外まだなかったころ、Intelは組み込み用CPUであるAtomをリリースした。image
このCPUはEee PC701などで使われていたCeleronを改良し、省電力化と高クロック化を施した製品で、CeleronMには搭載されていなかった仮想デュアルコアとするHT、ハイパースレッディングを利用することが可能となっている。
また、一部Core2Duoの命令も搭載されており、単にクロックダウンしたCeleronMに比べれば高性能化を成功させたCPUだ。
1.6GHzという高クロック(Eee PC701のCeleronMは633MHz)で駆動するが、TDP(熱設計電力、最大パワーで駆動したときの発熱量)が2.5Wと低発熱で動作が可能だ。
Pentium4-Mとほぼ同じ性能を持っているとされ、二昔前のPCスペックを持ち合わせている。
そのTDPは驚異的といえ、Pentium4-Mでは40Wを超えていたTDPは2.5Wと1/20にまで押さえられている。
そして、この発熱の少なさと消費電力の少なさはネットブック向けとしては最適でありEee PCも701の次世代となる900以降で採用している。
また、AcerやMSIなどのメーカーは最初からAtomを搭載しており2008年から2010年前半頃まではネットブックのCPU=Atomであり、シェア100%といっていい状態であった。
ちょっと話はそれるが、このAtomのコンセプトはWiiでも同じような事を行なっている。
Wiiはゲームキューブで利用されたCPUをクロックをあげつつ省電力化を行い、待機時に5wと押さえている。
もっとも、Atomは最大パワーで動いてもその半分の2.5Wであることを考えるとさすがはIntelといったところだろうか。

濫造、無個性、スペックの限界…斜陽の時代へ

各社から出始めたネットブックはほぼ同じスペックだった。CPUにAtomN270を搭載し、メインメモリーに1GB搭載10.9インチ液晶で解像度は1024×600のWSVGA。
SSDであれば10GB以下の容量で、HDDを搭載したモデルの場合には100GBや200GBまでの容量を持つ。
ほとんどがこのスペックで、筐体の変更とバッテリー持続時間が異なる程度で、どのメーカーを買っても余り違いがない。
悪く言えば、どれも一緒といえる。まさに無個性のPC達だった。
価格を抑える必要があることから、差別化が難しかったのだろうが、ここまでどのメーカーも一緒であれば元々の市場規模を考えれば飽和するのは見えており、実際にブームと言えたのも1年半程度であった。
日本ではそのブームに拍車を掛けていた一つの通信会社があった。
イーモバイル、月額料金が高いプランでありながらパソコンが1円や100円などと銘打っていた。

わからずに買ってしまった人々の悪評

イーモバイルの売り方はあたかも小さいパソコンが安い、そこだけをクローズアップしており、実際にどんなパソコンなのかがわからないユーザーにまで販売を行なっていた。image
初めてのパソコン、ネット環境もUSBを刺すだけで簡単に構築できるので初心者にも安心。
しかもモバイルのため家の中から外へ持ち出しても利用もできる、まさに万能のセットと店頭では叫んでいた。
100円ならば、1円ならば始めてみよう、月額料金は契約の時に聞かされるのでそのときに初めて高いものだと初めて知り、その後使ってみて失望する人が多かったのも事実だ。
さらに、2年間の縛りがあるため、ネットブックを買って損したと印象を付けられてしまうユーザーが数多く居た。
実際には、ネットブックと言うよりはイーモバイルの強引な販売方法に問題があるのだろうが、そこまで判別できるのであればその戦略にハマる事も無いだろう。
しかし、このときに売られたネットブックは数多くあり、その後の中古市場にネットブックが多く出回っていたのもイーモバイルの責任だったのではないだろうか。

日本では、こうした背景があり一過性のブームにすらならないニッチのはずが多くのユーザーがいるように勘違いされ、濫造に拍車が掛かることとなっていった。
もちろん、イーモバイルだけのせいではないだろう。
一般販売されているノートパソコンと同等の扱いをしていた家電量販店、インセンティブがあるためにネット通販でも多くの業者が販売を行なっていた。
もちろんそれらをすべて攻めることはできないが、未だに続く通信業界の「情報弱者から金を吸い上げる商法」はそろそろ戒められるべきではないだろうか。

一部のユーザーからの支持と多くの不支持

実際の使い勝手がわかっているユーザーからは手を加えれば安いネット端末として利用できると賞賛されていた。
また、SSDであるため駆動部がなく多少手荒に熱かったとしても簡単に壊れるものではなかったのも評価に繋がったのかもしれない。
特にAtomになってからのネットブックは使い勝手が良いものもあり、テキストベースに近いようなWEBサイトなどであればほとんど問題がなかった。
キーボードも安い割にはたわみが少ないものもあり、私が購入したS101はキーボードだけで言うならば、現在利用しているTimelineXよりも遙かに打ちやすいキーボードだ。
キーピッチは小さくなるが、たわみの少ないキーボードなので不都合が少ない。
しかし基本的な性能が劣っているところは否めず、外でちょっと使う以外の用途が見いだせなかった。
特に、ブラウザにFlashが多用されているようなサイトでは動作が重く、よくあるブラウザベースのソーシャルゲームも動作するとは言いがたい状況であった。

一回目はかったがその後続いて買おうと思わせる商品ではなかったのも事実で、一番のユーザーとなるであろう二台目、三台目のPCとして利用するユーザーは見切りを付けてしまっていた。

斜陽の時代を迎えたネットブックにさらに追い打ちを掛ける新しい商品が発売されていった。

 

次回へ続く。

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