ネットブック、一世風靡したネットブックはどこへ消えていったのか~その3~

 

ネットブック第三回、今回でこのお話は最終回になります。
ネットブック、とてもいい発想でしたね。

ネットブック以上のスペックを持ったCULVノート

ネットブックはAtomを搭載しているが、あくまでもスペックはPentium4-Mとほぼ同じ性能、現在発売されているノートPCとはパフォーマンスの差が歴然としている。
Atomより上のスペックを求める人々は多く、低価格モバイルのAtomと高価格モバイルノートの間に入る製品が発表されるのは時間の問題であった。
2009年、IntelはCULVと言われる超低電圧版CPUのシリーズにCore2DuoベースのCeleronを追加した。
元々この分野のCPUはあったが、ラインナップの強化とともに価格とCPUスペックで割に合わないと思わせるものをリリースした。
CeleronブランドでありCULVの中でも一番下位にあったCeleron SU2300、このCPUの登場がネットブックを脅かすものになるものとなってしまった。
それまでもCore2Duo SU9600など、CULVと言われるローボルテージCPUは出ていたが、単価が高く本体価格の高止まりとなっていた。
それに比べてCeleronというPentium2時代から続く廉価版CPUの名前の通り、低価格での販売を想定しているのがSU2300であった。
Celeronブランドでありながらデュアルコアで仮想化技術IntelVTも搭載、クロックこそAtomよりやや低い1.2GHzであったが、元々の設計が異なるため十分なパフォーマンスを持っている。

 

ネットブックと同等の59800円

Acerが発売を開始したAspireブランドのノートPCにAS1410という機種が加わった。


CULVノートの急先鋒AS1410、破格の設定に驚きの声があったほどだ。

Celeron SU2300を搭載し、HDMIやギガビットイーサ、USBも3ポートありSDカードスロットなども搭載するという申し分ない仕様であり、価格も59800円と一部のネットブックとほぼ同価格で販売されており安くて使えるノートPCとしてネットブック以来の衝撃を持って迎えられた。
バッテリーが6~7時間持ち、さらに価格も6万円を切り、さらにネットブックで主流だったAtomN270比で約3倍~4倍のパフォーマンスを持つので、ネットブックの出番はなくなっていった。
OSもwindows7を搭載できるスペックを持ち合わせており、それによって画面の解像度も上げることが可能となる。
ネットブックの一ランク上のスペックを持つ機種だが価格が同程度、これらはユーザーからの支持を受けて一時期は品切れ状態が長く続くこともあった。
さらに値引き販売も当然行なわれ、49800円や54800円といった下手な国産ネットブック以下の価格で販売されるようになる。最安値の時には4万円を切ることもあった。

こんな値段で出されては…

ネットブックが流行ったのはあくまでも低価格でそこそこのスペック、バッテリーも実用レベルに持つと言うのが売りだった。

しかし、同等かもしくは安い価格帯でスペックが高く本体重量がやや増えるが、ほぼ全てにおいて良くなってしまってはネットブックの存在意義そのものがなくなってしまう。
Acerは何を考えているのだろうか、自社のネットブックブランドをつぶしかねない事をしているのだ。
しかし、ユーザーにとってはこんなにうれしいことはない。
この機種以降、ネットブックが持っていた、持つはずだった市場は本当に小数の人々が支持するだけになってしまった。
CULVがAtomを駆逐したのだ。

ネットブックがもたらしたもの

ネットブックの成功によって、低価格ならばモバイルPCを欲しがるユーザーが多くいることがわかった。
CULV低価格ノートへの道が作られ、無駄にハイスペックである必要がないユーザー層の掘り起こしに成功した。
ネットブックが再び脚光を浴びることはないだろうが、モバイルユーザーを構築させた功績は忘れてはいけない。
今はモバイルPCよりもタブレット、スマートフォンがもてはやされているがやはりPCではないとできないこともまだまだ多いのだから。

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