ここからは通常モードでお送りします。(笑)
電話機を持ち出したいという考え方は電話機が誕生した当初からあり、やがて自動車の中で使える自動車電話が出てきます。
自動車電話であれば、移動中でも利用することが可能でシガーソケットを利用すれば電源の問題も解決される。
ただし、自動車の中でしか利用することができないし、通話料も基本使用料もバカ高くその上保証金も必要。
更に、エリアも狭く都心などの一部の地域でしか利用できないのが誕生直後でした。
そして、日本では1985年に今となってはあり得ないような大きさだった肩掛けできる携帯電話機が誕生します。
ショルダーホンという名前で重量は約3kg、文字通り肩掛けで待ち受け時間は約8時間、通話可能時間40分という大きさの割には…というものでした。
このショルダーホンは携帯電話ではなく、自動車電話の延長上となる製品であり、シガーソケットにつないで電源供給していたものを単にバッテリーに切り替えただけというものです。
この重量のほとんどはバッテリーで、でかいバッテリーがメインで電話機部分はそれほど大きくはありませんでした。
その後、純然たる携帯電話機は1987年に誕生します。
日本における携帯電話1号機は約900gという重量、待ち受け時間約6時間、連続通話時間約60分と手軽に使える物ではありませんでした。
とはいえ、ショルダーホンの約3kgに比べれば遙かに軽く、コンパクトになりました。まだ保証金も高く基本使用料も通話料もバカ高いので使うのは一部の人、ビジネスマンなどだけが使う時代でした。
日本である程度実用的な大きさの携帯電話機としては、TACS方式を採用していたDDIセルラーがモトローラ製の携帯電話機MicroTACを1989年にリリース。
それまでのNTT製携帯電話機に比べて大幅な軽量化と小型化する事でシェアを取ることに成功します。
これに対抗すべく1991年にNTTはムーバと名付けた電話機シリーズをリリースします。
このムーバは軽量コンパクトな作りとなっており、携帯電話の普及に大きく貢献していくことになります。
この頃で待ち受け時間が12時間、連続通話が60分とバッテリーの問題についてはまだまだ問題がたくさんあり、本当に実用的となるまでには時間が必要でした。
1980年代はまだ半導体の技術もバッテリーの技術も発展途上であり、主流だったニッケル水素バッテリー(現在でも使用されており、有名な所ではエネループ等があります。)はメモリー効果と言われる継ぎ足し充電を行うと容量が減ったように誤認識される現象があり、携帯電話などの1日使ったら途中から充電、といった用途には向かない事や、電圧が1.2Vとあまり高くないことから、工夫をして利用する必要がある時代でした。
1990年代に入ると安全性が確保されたリチウムイオンバッテリーが主流となり、小型化と大容量化、電圧や電気効率の向上などからそれまでに比べて遙かに小さい携帯電話の開発が進められていくようになりました。
また、待ち受け時間も長くなった事、そして保証金の廃止や通話料の下落などによって浸透して行き、iモードなどのサービス開始もあってビジネス層だけでは無く、幅広いユーザーに支持されるようになりました。
電話だけでは無いコミュニケーションツールとして利用できるようになったことから、それまで主流だったコミュニケーションツールの一つ、ポケットベルを一気に駆逐していくことになります。
リチウムイオンバッテリーの発展はケータイだけではなく、モバイルパソコンの市場にも大きく影響を与え、外出先での利用が難しかった名ばかりのモバイルパソコンもバッテリー駆動にて2~3時間、場合によってはそれ以上の駆動時間と実用的な重量の製品になることで市場が形成されていきました。
バッテリーの進化は確実にモバイル機器の進化に繋がり、どこでも使えるまさに「携帯電話」となりました。
しかし、今でもリチウムイオンバッテリーは爆発事故を起こしており、たびたびリコールなども行われていますが、これはリチウムイオンバッテリーの特性上起きえる事です。
そして、それに換わる新しい物が市場に出てこない以上はこれからも課題になって行く事でしょう。
今ある半導体はソフトウェアを動かすためには十分なパフォーマンスを持っていますが、技術は更に進化を続けています。
Automatic Task Killer(日本語版)定番のタスクキラーアプリ。Androidはこういったアプリを利用してタスクの終了を行う必要があるケースが多い。作者によっては、終了させることができるようにアプリ開発を行っているが、それをしないアプリがかなりたくさんある。
しかし、バッテリーは高密度技術がすでに限界に近く、バッテリー駆動時間の問題が再燃し始めています。
ユーザーは今よりも速く、長時間駆動する端末を求めています。
それに見合う製品が出たとして、半導体部品の消費電力をある程度抑える設計を行っても、ソフトウェアが問題となる事があります。
その一つの例となるのがAndroidとiOSです。
AndroidはGoogleが出しているマルチタスクOSで、今では日本のいや、世界規模で60%以上のシェアを誇るスマートフォン用OSです。
マルチタスクOSということは、複数のアプリを同時に動かす事ができます。
つまり、CPUは絶えず何かの処理を行なう事が可能な設計になっています。
なにか処理をすると待機時に比べてはるかに大きな電力を利用することとなり、バッテリーへ負荷をかけることになります。
また、システムレベルではアプリを終了させる仕組みを持っておらず、アプリ側の設計が悪いと裏でずっと動いていると言うことが珍しくありません。
何か裏で通信をしていたり、情報を操作していたり、ろくな事をしないと言われることもありますし、実際に動いているアプリによっては本当にろくでもない動きをすることも少なくありません。
これはiPhoneに比べてバッテリーがもたないと言われる理由の一つです。裏で通信を行うためにバッテリーを消費し、よくわからない処理をさせていることからCPUに負荷をかけてバッテリーを消費、どんなに大容量のバッテリーを積んでいても切りがありません。
対してiPhoneに使用されているiOSはマルチタスクではありますが、一定の動作以外のことを制限する様になっています。
画面の上に表示されているアプリ以外は裏でずっと処理を続けることは無く、例えば通信中に別のアプリに切り替ると通信は一度中止され、勝手な通信は行なれない(一部アプリ等を除く)
バックグラウンドになったときにそのまま一時停止するような作りとなっています。
また、マルチタスクバーから簡単にアプリを終了させる事も可能なので、気になるときにはどんどん終了してしまう事ができるようになっています。
この辺りはAndroidはiOSよりも後発でありながらなぜか劣化している、むしろ裏で何か情報を得るためにあえてこのような仕組みにしているのでは無いかと邪推してしまう事もあります。
益々バッテリーには辛い時代になっていくでしょう。
特にスマホの液晶の大型化、チップの消費電力の上昇、技術の停滞。
杜撰なソフトウェア設計など、様々な問題があります。
正直、もっとスペックが上がったとして、どこまでの人々がついてくるのでしょうか。
スペックの向上だけで発展する市場は、いつしか【これ以上のスペックはいらない】と思われてしまい、需要が大きく低下することが考えられます。
フィーチャーフォンことガラケーは長い時間をかけて話すだけのケータイから通信端末へと進化し、付加サービスとしておサイフケータイやカメラなどを搭載し、様々なアプローチで進んできました。
今はそれらは最初からあり、次に何をするのかというとスペックアップ以外になにもありません。
ただバッテリーを大きくし、液晶を大きくし・・・肥大化していく先にはどうしても「自滅」という言葉が見えてしまいます。
リチウムイオンバッテリーよりも効率よく、かつ安全なバッテリーが出てくるのを祈りつつ今回は終わりにします。