http://www.microsoft.com/ja-jp/office/home/default.aspx
今まで日本では提供されていなかったOffice365の個人向けサービス。今回SurfaceProの廉価版や新しいプリインストール用のライセンス体系などと同時に発表された。今回はこの2つの新しいOfficeについて少し考えてみたい。
日本のOffice占有率は圧倒的で、メーカー製PCを買うとだいたいバンドルされている。最近では少しずつ減っている傾向ではあるが、それでも他国に比べて圧倒的に多い。これは各メーカーがパソコンの普及時にWordとExcelをバンドルした販売スタイルを取っていたからだ。かつては一太郎とLotus1-2-3のバンドルもあったが、Microsoftの不当廉売によってシェアを奪われ、日本ではワープロソフトと言えば「Word」であり、スプレッドシート(表計算ソフト)と言えばExcelとなっている。
この異常とも言える占有率の影響でクラウド型サービスを提供しているOffice365を個人で契約をする人も少ない。しかし、個人用であればGoogleDosなどを利用すれば簡単な表計算は問題ないし、Appleは2013年10月以降にMacやiPhone、iPadなどを購入するとiWorkが無料で利用できるようになっている。また、元々無料で配布されているOpen OfficeやLibreOfficeもだんだんと洗練されてきている。
こういった事情から、新しいライセンスが日本でも必要となってきたのだろう。もちろん、バンドルして販売すればMicrosoftは何もせずに勝手にOfficeが売れていくという、とてもうらやましい環境ではあったのだが、それだけではまずいと判断したのかもしれない。
今まで通りのパッケージ販売に加えて新たに永続ライセンスと年間契約ライセンスの新しい二つのライセンスが出来た。
1つめの永続ライセンスはOffice Premium、こちらは搭載されたPCのみで利用可能なライセンスで、今までのパッケージ版のように使い回し(新しいPCへのインストール)などは出来ない。しかし、そのPCを使い続ける限りOfficeのアップデートは行われると言うものだ。簡単に言えば、Office2013が2015になったとしてもアップデートが可能な物だ。このPremiumにはパッケージ販売されているHome and BusinessやParsonal、Professionalといった分け方がされている。
このライセンスのメリットは対象PCを使い続ければOfficeのアップグレードはずっと受けることが出来る。という点がメリットだろう。しかし、実際にいつまでそのPCを使うのかはわからない。もしくはヘビーユーザーで頻繁にPCを買い換えるという場合にはあまり特にならないだろう。まあ、ヘビーユーザーがメーカー製のOfficeがバンドルされた物を頻繁に買うのかと言われれば、たぶん買わないと思うので気にすることはないかもしれない。このOffice Premiumは第一弾としてSurfaceに搭載される。
そしてこのOffice Premiumは1年間限定でマルチデバイスの利用権が付いてくる。また、大容量オンラインストレージとしてOneDriveも1年間利用できる。容量はビジネス向けと同じく1TB。個人的には1TBをオンラインストレージにあげて万が一にもデータが飛んだらと思うとちょっと怖いところもある。また、オフライン利用をするためにはPCのストレージ(HDDなど)も1TB以上無ければならない。SurfaceはSSDなのでそもそもそこまでの容量もない。このあたりはインターネット接続が可能である事を前提としているから仕方が無い事かもしれない。
また、2年目以降はマルチデバイスとOneDriveは有料となるため、追加で1年更新のパックを買う必要がある。参考価格として5800円と設定されているが、OneDriveを利用し始めてしまうと毎年この価格で更新していかなければならない。ある意味身代金みたいな物だろう。ただ、1TB使えるオンラインストレージだと、Google Driveが$9.99である事を考えると格安だと言えるだろう。また、マルチデバイスに関してもiPadは2台、その他AndroidやiPhoneのOfficeを利用可能となっている。それならばそんなに高いとは思えない。実際に、月額にすれば484円程度だ。
オンラインストレージを使わなければ費用は掛からずにずっとOfficeを利用出来る。確かにお得かもしれない。
もう一つのプランとしてOffice 365 Soloがリリースされる。こちらは個人向けのOffice 365だが、ライセンスがビジネス向けや他国とは大きく異なっている。まず、プランとしては1つだけでOfficeの内容はProfessionalと同等ですべてが付いたワンパッケージだ。AccessもPublisherもついている。また、2台までのPCにインストールが可能であり、MacとWindowsで1台ずつインストールも可能となっている。それが1年の使用料で11,800円だ。通常パッケージで考えればProfessionalは安くても4万程度はするわけで、3年以上使うならばOffice 365 Soloの方がお得と言える。また、こちらも契約を続けていれば新しいOfficeのバージョンへアップデートが行われる。となると、パッケージ版を買う意味があるのだろうか。と言えるような内容だ。
さらにオンラインストレージも1TB付いてくる。マルチデバイスだって対応だ。となればバージョンを勝手に上げられては困る人でもなければこちらの方がお得と言えるだろう。私の場合は自宅であまりOfficeを利用することがないが、1TBのオンラインストレージだけを考えても月額1,000円程度なのでGoogle Driveを利用するよりもOfficeが利用出来るだけお得だ。しかも、商用利用禁止ではないため、自宅へ仕事を持ち帰る人も問題が無い。また、地味なところではSkypeの60分利用権も付いてくる。(ただし固定電話宛てのみ)
全体的に見て、単にOfficeを売ると言うよりはストレージやSkypeなどを一つにまとめて販売するスタンスはMicrosoftも色々と変わってきたんだなあと実感する。特に今回のプランは日本独自のプランとして展開している。米国主導で変なプランを入れるより、日本の風土に合った新しいOfficeのライセンス、私は歓迎したいと思っている。