こんにちはtknriiiiです。
9月15日~17日まで、TGSこと東京ゲームショウが開催されていました。
その前日、9/14にソニーのカンファレンスがありました。
そこでPlayStation Vitaの発売日と価格の正式発表があり、いろいろな反応がありました。
今日はそのVitaのスペックなどから見るソニーの戦略を考えていこうと思います。
なお、私はとあることがあって以来ややアンチソニーのため、一部市場が挟まっているかもしれない事を先にお伝えしておきます。
PlayStation Vita(以下PSV)は2011年12月17日に発売予定となっているPSファミリーの末っ子です。
そのスペックは今までの携帯ゲーム機を凌駕し、一線を貸すものとなっています。
どちらかというと、ゲーム機と言うよりはスマートフォンに近いパーツが使用されています。
しかし、その構成を見る限りではハイスペックスマートフォンに勝るとも劣らないほどとなっています。
CPUにはARM Cortex-A9規格を採用し、クアッドコアであると言うことです。
A9ファミリーでは初めてのクアッドコアかもしれません。
他社はまだデュアルコアばかりを出しています。
ちなみに、このCortex-A9規格はiPad2のA5やnVIDIA Tegra230や250も同じ規格で作られています。
周波数は公表されていないので不明ですが、おそらく1GHz程度ではないかと思われます。
また、グラフィックチップもSGX543MP4+というチップを採用しており、これはかつてNECが開発したPowerVRの流れをくむチップです。
その性能はライバル機と言われるニンテンドー3DSを遙かに凌駕しており、ポリゴン数で約10倍、ピクセル数で約4倍となります。
単純な比較はできませんが、2003年に発売されたGeForce5900 ultraと同等の性能を持ち合わせて居るので携帯機としてはかなりのものではないでしょうか。
その二世代後に当たるGeForce7900をベースに設計されているのがPS3なので、よく言われるPS3並みの描画性能というのは些か誇大した表現ではないかと思います。
ちなみに3DSはGeForce2GTS程度の性能しか持ち合わせていません。
同じく携帯電話ではありますが、Xperia PlayはARM7ベースのCPUを使用しています。MSM8255といわれていますが、これは最近のXperiaやAQUOSPhoneなどに利用されているもの。
明らかにゲーム機としては劣っていると言わざるを得ません。
それだけ基本性能が高いと言うことですね。
PSVの特徴の一つとしてタッチパネルを搭載したことがあげられます。
それも、DS系とは異なる静電容量方式のため、タッチペンが不要で指で扱えます。
今あるスマートフォンと同じ仕組にすることで取っつきやすくする効果も見込めます。
このタッチパネルは前面と背面についており、それらを同時に扱うことで様々な事ができるようになると考えられていますが、どこまでの事ができるのかはまだわかりません。
TGSでの評価はいまいちで、本体サイズを考えると前面と背面を同時に使う事は困難なようです。
またそれとは別に十字キーと□△×○の4ボタン、RLボタンが搭載されています。
ここは単純に言えばPSPにタッチパネルを搭載したと考えればいいことでしょう。
ゲームを供給するのは専用フラッシュメモリーで現時点では4GBが最大容量のようで、これは3DSと変わらない容量でしかありません。
また、PSPにあったUMDを廃止し、ダウンロードサービスによる互換性は持たせているものの、PSPがRISC系CPUのためバイナリーレベルでの互換性はない。
そのためにソフトウェアエミュレーションによる互換性となっている。
これは、PS3の後期型でも同じ事を行っており、UMDの廃止だから対応不可というわけではないところにやや疑問が残ります。
これらのハード構成は確かにすばらしいものがある。
しかし、実際にこれがゲームにむいた構成なのかと言われるとやや疑問が残ってしまう。
たとえば4コアあるというCPU、未だにマルチスレッドに対応しているゲームはあまり多くはない。
マルチスレッドにするメリットがあまり無かったりしているのが現状のようです。
あのPS3でさえほとんどありません。
囲碁や将棋など、同時に複数の選択肢を大量に計算することで最善の方法を模索するようなゲームの場合にはこのマルチスレッドが大きく役に立っているようですが、RPGやアクションゲームでは生かし切れていないようです。
それを考えると、ゲーム機として生かし切れないスペックを持っていると言うことは、どこを目指すことになるのでしょうか。
それがマルチメディア、つまり動画の録画再生や音楽再生、通信機能によるネット接続などをメインに据えている様にみえる。
これらの機能は現在のスマートフォンで行えることでもあり、わざわざPSVを買って初めてデビューするという人は少ないでしょう。
さらに携帯電話網を使った通信、よく言う3G通信も可能になっているが、ドコモのスマートフォンプランを利用するか、プリペイド方式を使うかの選択肢があります。
プリペイド方式では100時間で4980円とお安いとはいえない価格で、なおかつ通信速度も128kbpsとINS64をMP接続したのと同じ速度でしか通信できません。
3時間だけFOMAハイスピードの14Mbpsでの通信は可能ですが、現実的とはいえない速度がメインで利用されることになりそうです。
また、ネット接続をメインで利用したとしてもその駆動時間は明記されていません。
公式サイトで明記されているのはゲームが3~5時間、動画再生5時間、音楽再生9時間とだけ書かれています。
ちなみに、iPod touchでは音楽再生40時間、動画再生7時間と書かれており、PSVより遙かに長い動作が可能となっています。
そして、ソーシャルとの融合を今回のメインに置いているようですが、ソーシャルゲームはそもそも高いスペックを要求しません。
せっかくのCPUもGPUもソーシャルではそのパフォーマンスを生かすことが難しいのではないでしょうか。
つまり、ゲーム機としてもスマートフォン機能としても中途半端な部分が多くあり、価格を考えると二の足を踏む人も多いのではないでしょうか。
スマートフォンと同じような仕様であるという事はもちろん意識しつつも差別化を図ろうと考えるのが普通です。
ゲーム機としてコアなゲームを楽しむユーザーを取り込みたい、それがPSVのメインテーマともいえます。
少なくとも9月15日のカンファレンスまではそう思っていました。
しかし、ふたを開けてみれば、PSPの売り上げを押し上げたモンスターハンターは3DSへ行ってしまい、ラインナップを見ても焼き直しが現状多いことが見られます。
ちなみにリメイクでHDとよく付けられていますが、PSPもPSVももちろん3DSもHDと言われる解像度、ハーフHD720iの解像度を持っていません。
PSVにHD画質でリメイク、という売り文句は半ば詐欺といえるかもしれません。
コアなゲーマーが好んでいたモンスターハンターが消え、音ゲーとしてそこそこの売り上げを上げていた初音ミクのゲームも消え、ゲーム機としては3DSに出鼻をくじかれています。
ならばスマートフォンとは違い電話機能がついていないので、どちらかというとタブレット未満、スマートフォン以上という位置づけでしょうか。
個人的には位置づけが微妙なので、あえて新しい位置づけとして考えた方がいいのかなと思っています。
ゲーム機としてもスマートフォンとしても微妙な位置づけです。
そして、ソーシャルやネット、3G通信も行えますと言ってますが、肝心の3G通信に関してはドコモの通常の定額プラン、基本使用料+パケット定額の約8000円程度が必要となります。
それ以外にプリペイド方式で使えるようになりましたが、前述の通りあまりお得とはいえない料金体系です。
3Gはあくまでもおまけ程度に考えた方が良さそうな感じがします。
とすると、本体のゲーム機能で勝負する様になるのですが、それはそれでまたもや微妙。
PSPの売り上げを押し上げたモンスターハンターも無く、ソニー独自のゲームもほとんど無い。
もちろんこのままで終わるとは思っていませんが、現時点でいえることは、「今の状態では何のためにPSVを作ったのかわからない」というのが正直な意見だ。
PS3も同じような印象を受けた。CELLは良いCPUだったが、ゲーム用途にはあまり向かない、並列処理はゲームではあまり効果がないことを示した。
同じ事をPSVでも行おうとしているのか、すごいスペックであってもそれを生かすだけの環境が無ければ意味がない。
今後どのように変わってくるのかはわからないが、現状のままでは苦戦するだろう。
そして、最大のライバルはニンテンドー3DSではなく、PSPになる事でしょう。
3DSもライバルはDSであることを考えるとプラットホームをいかにうまく移行させるか、そこが両者の一番の課題になるのではないでしょうか。
PSPGoが早々に失敗したソニー、PS4はまだ声が聞こえない事を考えると、ここで失敗するわけにはいかない。
本当に今のままで成功すると思っているのかどうか、発売までの3ヶ月、まだまだ目が離せない。