最近、スマートフォンもかつてのPC/AT互換機のように似たり寄ったりで、OSも成熟してきていじりがいの無いものへと変わってきてしまっている気がします。個人的にはとても残念な気がします。つまんないから。
今回はeMMCとスペックシートには書いてあるけど何のことかわかりづらい物についてちょっとだけお話しします。
iPhoneやAndroid端末、それぞれスペックシートを見るとA9チップ、ストレージ64GBやら、Snapdragon810だのよくわからない単語が飛び交うと思います。それぞれメーカーの製品名だったりブランド名だったり、単にストレージは容量だったりしています。eMMCはひとつの規格の名前です。USBやDVDなんて単語と意味合いは同じ仲間になります。
HDD、ハードディスクドライブ、古い人ならば、固定ディスクというよくわからない用語を見たことがあると思います。すでにHDDはメインストレージよりは、大容量なデータストレージとして利用されるケースが増えており、メインのアプリケーションなどは別のストレージが使われることが増えています。
時代の流れで、より高速なドライブを求めていった結果、HDDより高速な半導体ドライブ、俗に言うソリッドステートドライブ、SSDへと変わってきました。もちろん、主流はまだHDDであり、SSDは高性能を求めていたりノートパソコンやタブレット端末などの大容量HDDを必要としないもしくは搭載しづらい小型のデバイスで普及しています。
ただ、半導体ストレージ、SSDは着実にHDDの分野を浸食し始めています。前述のタブレット端末は物理的に回転するHDDを搭載する電源やスペースの問題で、SSDと同じように扱うことができるeMMCを搭載し始めています。電源を入れればすぐ使えるというデバイスではHDDはタイムラグが発生する、そして何より技術的にどうにもならないスペースの問題があります。だから、eMMCを使うのです。でも、eMMCってSSDともまた違う用語だし、いったい何なんでしょうか。
Embedded、埋め込んでいるという意味のembedを過去形にした単語です。あらかじめ埋め込んでますとか、もう入ってます。なんて意味なんでしょうかね。組み込みOSや組み込み部品などにこの単語がよく使われています。
そもそもMMCってのがなじみがあまりありませんが、SDカードと互換があるメモリーカードです。単にMMCって言うといろんな言葉があるので、市場金利連動型預金なんてのにも使われていますし、三菱自動車もかつてはMMCでしたし、他に思い浮かぶ物がたくさんあるでしょうね。
このMMCは日本では普及しませんでしたが、その規格を流用して組み込みストレージとして普及しました。それというのも、AndroidやiOS、そしてWindows8以降でも起動ディスクとしてeMMCが利用出来るようになったのが大きいと思います。
基盤に貼り付けちゃうので取り替えることはできませんが、その分コネクタなどの余計な部品を使うことが無く、薄くて小さいスマホやタブレットを作る上では有利です。そんな訳で今ではほとんどのスマホやタブレットで採用されています。
というわけで、eMMCって怪しい物じゃ無いですよ、というのがわかればいいと思います。
このeMMCなんですが、SSDに比べて安い分デメリットもあります。特に大きなデメリットとしてその転送速度と耐久性が挙げられます。SSDも耐久性がといわれていますが、それよりも低い耐久性と言われています。
元々、SDカードのように二次ストレージのようにして使われていたのですが、それをメインにしている以上はどうしてもそのデメリットが目立つことが多いのは事実です。しかし、裏を返すと、eMMCを利用しているデバイスの寿命というのが約2年~3年程度とみられています。スマホも2年おきに買い換えるそういう風潮がeMMCでも十分事が足りるという結果を招いたのかもしれませんし、2年程度しかもたないから機種変更をするということも言えるかもしれませんね。
eMMCはSSDよりは低速で耐久性も低いですが、コストがSSDよりも安価に搭載できて、なおかつHDDのようなスペースを必要とせず、しかも省電力。
HDDよりは高速でタブレット端末やスマホなどには十分な物と言えるところがあります。ただ、ハイエンドモデルのスマホなどにはこのeMMCではなくてSSDが搭載されていたり、UFSという高速転送が可能な規格を採用しているケースもあります。
eMMCは安価な規格でそれなりに使える物だという事ですね。