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カテゴリー: column

  • ネットブック、一世風靡したネットブックはどこへ消えていったのか~その2~

    前回に引き続き、ネットブックの事を書きたい。
    今回はあのキャリアの愚痴も含まれているかもしれません。

    少し話は前後するが

    Eee以外まだなかったころ、Intelは組み込み用CPUであるAtomをリリースした。image
    このCPUはEee PC701などで使われていたCeleronを改良し、省電力化と高クロック化を施した製品で、CeleronMには搭載されていなかった仮想デュアルコアとするHT、ハイパースレッディングを利用することが可能となっている。
    また、一部Core2Duoの命令も搭載されており、単にクロックダウンしたCeleronMに比べれば高性能化を成功させたCPUだ。
    1.6GHzという高クロック(Eee PC701のCeleronMは633MHz)で駆動するが、TDP(熱設計電力、最大パワーで駆動したときの発熱量)が2.5Wと低発熱で動作が可能だ。
    Pentium4-Mとほぼ同じ性能を持っているとされ、二昔前のPCスペックを持ち合わせている。
    そのTDPは驚異的といえ、Pentium4-Mでは40Wを超えていたTDPは2.5Wと1/20にまで押さえられている。
    そして、この発熱の少なさと消費電力の少なさはネットブック向けとしては最適でありEee PCも701の次世代となる900以降で採用している。
    また、AcerやMSIなどのメーカーは最初からAtomを搭載しており2008年から2010年前半頃まではネットブックのCPU=Atomであり、シェア100%といっていい状態であった。
    ちょっと話はそれるが、このAtomのコンセプトはWiiでも同じような事を行なっている。
    Wiiはゲームキューブで利用されたCPUをクロックをあげつつ省電力化を行い、待機時に5wと押さえている。
    もっとも、Atomは最大パワーで動いてもその半分の2.5Wであることを考えるとさすがはIntelといったところだろうか。

    濫造、無個性、スペックの限界…斜陽の時代へ

    各社から出始めたネットブックはほぼ同じスペックだった。CPUにAtomN270を搭載し、メインメモリーに1GB搭載10.9インチ液晶で解像度は1024×600のWSVGA。
    SSDであれば10GB以下の容量で、HDDを搭載したモデルの場合には100GBや200GBまでの容量を持つ。
    ほとんどがこのスペックで、筐体の変更とバッテリー持続時間が異なる程度で、どのメーカーを買っても余り違いがない。
    悪く言えば、どれも一緒といえる。まさに無個性のPC達だった。
    価格を抑える必要があることから、差別化が難しかったのだろうが、ここまでどのメーカーも一緒であれば元々の市場規模を考えれば飽和するのは見えており、実際にブームと言えたのも1年半程度であった。
    日本ではそのブームに拍車を掛けていた一つの通信会社があった。
    イーモバイル、月額料金が高いプランでありながらパソコンが1円や100円などと銘打っていた。

    わからずに買ってしまった人々の悪評

    イーモバイルの売り方はあたかも小さいパソコンが安い、そこだけをクローズアップしており、実際にどんなパソコンなのかがわからないユーザーにまで販売を行なっていた。image
    初めてのパソコン、ネット環境もUSBを刺すだけで簡単に構築できるので初心者にも安心。
    しかもモバイルのため家の中から外へ持ち出しても利用もできる、まさに万能のセットと店頭では叫んでいた。
    100円ならば、1円ならば始めてみよう、月額料金は契約の時に聞かされるのでそのときに初めて高いものだと初めて知り、その後使ってみて失望する人が多かったのも事実だ。
    さらに、2年間の縛りがあるため、ネットブックを買って損したと印象を付けられてしまうユーザーが数多く居た。
    実際には、ネットブックと言うよりはイーモバイルの強引な販売方法に問題があるのだろうが、そこまで判別できるのであればその戦略にハマる事も無いだろう。
    しかし、このときに売られたネットブックは数多くあり、その後の中古市場にネットブックが多く出回っていたのもイーモバイルの責任だったのではないだろうか。

    日本では、こうした背景があり一過性のブームにすらならないニッチのはずが多くのユーザーがいるように勘違いされ、濫造に拍車が掛かることとなっていった。
    もちろん、イーモバイルだけのせいではないだろう。
    一般販売されているノートパソコンと同等の扱いをしていた家電量販店、インセンティブがあるためにネット通販でも多くの業者が販売を行なっていた。
    もちろんそれらをすべて攻めることはできないが、未だに続く通信業界の「情報弱者から金を吸い上げる商法」はそろそろ戒められるべきではないだろうか。

    一部のユーザーからの支持と多くの不支持

    実際の使い勝手がわかっているユーザーからは手を加えれば安いネット端末として利用できると賞賛されていた。
    また、SSDであるため駆動部がなく多少手荒に熱かったとしても簡単に壊れるものではなかったのも評価に繋がったのかもしれない。
    特にAtomになってからのネットブックは使い勝手が良いものもあり、テキストベースに近いようなWEBサイトなどであればほとんど問題がなかった。
    キーボードも安い割にはたわみが少ないものもあり、私が購入したS101はキーボードだけで言うならば、現在利用しているTimelineXよりも遙かに打ちやすいキーボードだ。
    キーピッチは小さくなるが、たわみの少ないキーボードなので不都合が少ない。
    しかし基本的な性能が劣っているところは否めず、外でちょっと使う以外の用途が見いだせなかった。
    特に、ブラウザにFlashが多用されているようなサイトでは動作が重く、よくあるブラウザベースのソーシャルゲームも動作するとは言いがたい状況であった。

    一回目はかったがその後続いて買おうと思わせる商品ではなかったのも事実で、一番のユーザーとなるであろう二台目、三台目のPCとして利用するユーザーは見切りを付けてしまっていた。

    斜陽の時代を迎えたネットブックにさらに追い打ちを掛ける新しい商品が発売されていった。

     

    次回へ続く。

  • ネットブック、一世風靡したネットブックはどこへ消えていったのか~その1~

    top

    Eee PCに始まったネットブックのブーム、かれこれ3年から4年くらいになりますね。
    疾風のように現れて疾風のように去って行ったネットブックブーム、今はかつての勢いはなく細々と新機種がリリースされている。
    一体あのブームは何だったのか、今回はネットブックについて書いてみたいと思う。

    ネットブックがデビューに至った経緯

    持ち運びも可能な小さいいわゆるモバイルノートはどれも高止まりしていた。
    しかし、そこまで求めないが手軽に外に持ち運べるノートを求めるユーザーが一定量いたことは確かだった。
    初代Eee PCは、そんなニーズに応えるべく必要最低限のスペックだけを持ち、外に持ち運べるモバイルノートを格安で提供すると言うコンセプトで開発が行なわれた。
    二台目のパソコンとして利用したいユーザーや文章作成とちょっとしたネットだけしか使わないライトユーザーや発展途上国をターゲットとした製品がネットブックの本来の姿であった。

    スペックは最小限に

     eee2

    初代Eee PCはEee PC701としてリリースされ、日本ではEee PC 4G-Xという型番でリリースされた。
    CPUにはインテル製Celeron Mをクロックダウンしたものが採用され、初期のクロックは633MHzと低速だった。
    使われたCeleron MはDothanコアと言われるもので、ちょうど私が持っていたThinkPad R50eが採用していたのがこの頃のCPUだ。
    完全に旧世代化したCPUであり、パフォーマンスもたかがしれている。
    さらに、クロックダウンさせることでスペックは劣ってしまうが、省電力化が可能でありモバイルノートとして重要なバッテリーの持続時間の向上に繋がっていく。
    後にベースクロックと言われるFSBを向上させ、900MHzにて動かすEee PC701SDや900-Xというモデルもリリースされる。
    ベースとなるCPUは前述の通り旧世代化したものだがレポートの作成や大きくないスプレッドシートの編集では十分なものであり、ネットで調べ物をしつつレポートを書くと言う学生などには十分なもので、価格も5万円を切るという当時としては驚異的な価格であった。
    SSDやHDDではなく、基板上にメモリーチップを搭載するなど、徹底的にコストを下げる事で安価にしたが、同時に肥大化するOSには対応ができない状況にも陥っていた。
    そこで、OSはすでにwindows Vistaがリリースされているにもかかわらず画面解像度を低く設定しCPUやストレージに制限をかける事でWindows XPの搭載を可能とさせ。安価でそこそこ動くという条件をクリアーする事に成功している。
    すでにデスクトップリプレースなどと言う、据え置きノートでは価格破壊が起きていたが、軽量コンパクトなノートを低価格化させたのはこのEee PC、ネットという市場だろう。

    そうはいっても所詮は…

    スペック的には二世代、三世代前のCPUなので最初に買うパソコンとしては適切ではない、ネットも流行のブラウザゲームやFlashが多用されているサイトでは残念ながら描画が遅く、実用的とは言いがたいものだった。
    また、日本語環境では処理がさらにもたつき、場合によっては漢字変換にもたつくことなども起きていた。
    特に辞書のサイズが大きいATOKなどではその現象が顕著であった。
    最低限の事ができればいい、しかしメインマシンで利用している快適な環境の一部を持ち込むことで最低限の事すらおぼつかない、そんなくずPCとレッテルを貼られることも少なくはなかった。
    と言うのも、ネットブックを購入するのがいわゆるヘビーユーザーと言うか、ばんばんに使いこなすユーザーが多かったことも不運だったのかもしれない。
    ただ、それらユーザーは「使い勝手が悪ければ改造すればいい」とメモリーの増設や内蔵ストレージのチップの貼替え、あげくにはメモリーストレージにありがちなフリーズを解消するためにRAMディスクを利用するなど工夫を重ねていた。
    それらの情報はネット上に多く公開され、いじればイケてるネットブックというカテゴリーへと発展していった。

    eee3

    売れることがわかるとEee PC以外にも多数のメーカーが参入してくるのも自然な流れであり、Eee PCを出していたASUS、同じ台湾メーカーのAcerやMSI、hp、Dellなど世界シェアのトップレベルのメーカーは挙って参入し始めた。
    日本メーカーもそういった流れから参入してきたが、ネットブックの本質である「安くてそこそこのスペック」という事を忘れ、付加価値を付ける事で価格を上げたりと何のためにネットブックの市場に参入したのかわからないものが多かった。
    日本メーカーだからと言うことである程度の支持を受けるが、結果としては惨敗。他社との差別化を図ろうとして失敗した。
    日本メーカーらしい失敗の方向だった。

     

    さて、今回は、ネットブックの話題をお送りしたが、かなり長くなりそうなので、いったんここで切らせていただく。
    次回、少し話は前後しますがAtomの登場から斜陽の時期までを書いてみたいと思います。

  • Microsoftが作ったDropBox、windows live meshサービスを使ってみよう

    essentials

    こんにちは、tknriiiiです。
    いつの間にか冬になってます。
    突然の気候の変化なので、皆様ご自愛ください。

    さて、今日はMicrosoft謹製のサービス、windows Live EssentialについているLive Meshサービスを使ってみようと思います。

    そもそも Live Meshとはなんぞや

    MicrosoftはLiveなんちゃらと言う名前でいくつかのアプリケーションを開発しています。

    image今回紹介するLive Meshもそういった製品の一つで、これらは無料で利用が可能です。
    Live Essentialにはほかにもメールやセキュリティーソフトや政治的ないろいろなことがあってwindowsに標準で付けられなくなったメールソフト、Outlook Expressの後継製品、Windows Live Mailというものが提供されており、ワンクリックですべてをインストールすることもできます。
    たとえば、古くはMSNメッセンジャーと言われていたLive Messengerや私がブログの更新によく使っているLive Writerなどがそれに当たる。
    今回紹介するLive Meshもそういった製品の一つで、これらは無料で利用が可能です。
    Live Essentialにはほかにもメールやセキュリティーソフトや政治的ないろいろなことがあってwindowsに標準で付けられなくなったメールソフト、Outlook Expressの後継製品、Windows Live Mailというものが提供されており、ワンクリックですべてをインストールすることもできます。

    Live Meshを語る前に少しだけ別のサービスのことを

     

    まずこのLive Meshを説明する前に少しだけ別サービスの事を書いておかないといけないと思う。

    それは、SkyDriveというサービスの事についてです。
    簡単に言えば、Microsoftが運営しているオンラインストレージの事でWindowsLiveのIDを持っていれば25GBの容量を使用することが可能。
    もらっておいてそんはないでしょう。

    image
    ただし、このSkyDriveはブラウザ上で動かすアプリケーションなので、簡単にデータのやりとりを行うと言う所ではDropboxやEvernoteよりも見劣りしてしまいます。
    でも容量が25GBあるのは魅力的ではないでしょうか。

    では、Live Meshは

    Live MeshはこのSkyDriveとは別に5GBのストレージを持ち、さらにDropboxライクに利用することができるサービスで、認証にはWindowsLiveのIDを使います。
    簡単に言えば、Live版のDropboxです。
    mesh5GBの容量を使う事ができるので、Dropboxは勧誘する人が居ねえとか容量増えねえよウワァァァァァァヽ(`Д´)ノァァァァァァン!
    なんて方にはこちらの方がいいかもしれませんね。
    元々このLive MeshはPC同士のファイルを同期するLive Syncという機能から統合されたもので、複数台のPCでファイルを同期するのがメインでした。
    もちろん両方のPCが電源を入れてソフトを常駐させておく必要があるので、ファイルの同期でもややめんどくさいものでした。
    昨今のクラウドの流れから、同期もクラウドを利用することでPCを起動させておくこと等を気にせずに使う事が必要となった事から新しいシステムとして生まれ変わりました。
    実際の操作は初期設定だけは必要です。
    タスクトレイに常駐しているLive Meshのアイコンをダブルクリックすることで設定画面が現れます。
    設定を行なうのは数カ所。
    同期させるフォルダの指定と同期させる相手(自分だけなのかmessengerのIDを持っている相手を含めるのか)で、それほど難しいものではありません。
    同期させるフォルダは任意に設定ができるので、マイドキュメント全体にしたい人はそこを指定すれば良いし、個別のフォルダを指定したければそうすればいい。
    柔軟性はDropboxよりあります、まあ後発のサービスだから当然ですけど。

    相手を指定して共有可能

    image

    個人用のクラウドサービスとして利用も可能だが、WindowsLiveのサービスを使っている相手であれば最大9人まで共有をすることが可能だ。
    Dropboxの様に不特定多数へ公開することは不可能なので、これを劣ると考えるか本来の用途(ファイル共有)に合っているとみるかはそれぞれの感性でしょう。
    数人でドキュメントを共有したり資料の編集などを行なうのがメインの利用方法となりそうです。

      <h4>総括</h4>  <p>5GBの容量は魅力的ですが、WindowsLiveのIDを取得していないと利用できないのは面倒なことかもしれません。   <br />と言っても、Dropboxもメールアドレスなどを登録しなければ使えないわけですし、他社サービスと比べてもそれほど見劣りするものではありません。    <br />設定もそれほど難しくはありませんので、messengerとしてWindowsLive Messengerを利用している人ならば、使ってそんはありませんね。</p>  <p>ダウンロードサイト   <br /><a title="http://windowslive.jp.msn.com/" href="http://windowslive.jp.msn.com/">http://windowslive.jp.msn.com/</a>
    
  • インターネット昔話第2回~ISP隆盛と淘汰の歴史

    インターネットが一般に普及してから約15年、様々な事がありました。
    今回は、ISPについて少々書いてみたい。

    ISP、一般的には単にプロバイダーと言う事が多い。
    正確には、インターネットサービスプロバイダーである。
    プロバイダーと言う言葉には、案内人の意味がありインターネットの案内人、仲介と言うような意味にとらえるべきだろうか。

    黎明期のISP達

    日本のインターネット黎明期には、従量課金による接続料の発生が基本となっており、最初期では3分10円から高い所では1分30円などという所もあり、それとは別に入会金や基本使用料が発生するのが一般的である。
    ともかく、個人で利用するとなると多額の使用料金が必要だった時代だ。
    この使用料はインターネット使用料であるため、別途電話回線使用料が発生する。
    そう考えると、インターネットへ10分接続すると最低でも80円程度は掛かることになる。今では考えられないほど高額なサービスだ。
    1995年から夜間はテレホーダイがあったが、日中は従量課金が発生するので、常時接続など夢のまた夢の事であった。
    黎明期にあったのはリムネットやJETON、BEKKOAMEなど。この中でもBEKKOAMEは他社に比べてとんでもなく安く、年会費2万円、入会金1万円と、3万円で接続制限がなかった。
    リムネットは基本使用料1800円で7時間まで、それ以降は従量制で3分10円だが青天井なのでハマるととんでもない課金が発生することになる。

    乱立されるISPとインターネットブーム

    1995年に発売されたwindows95はインターネット標準プロトコルとなるTCP/IPを標準で利用が可能で、別売ながらもInternet explorer2.0(海外版は1.0)を売りはじめ、ほぼ標準でインターネット接続を実現した。
    また同時期にネットスケープ・コミュニケーションズよりNetscape navigater2.0がリリースされ、長期に渡ってブラウザーを牽引していった。
    この両者ブラウザーに関しては、また別の機会に詳しく書きたい。
    これによってインターネット人口は爆発的に増加していく事になる。
    それまでは高額だった高速モデムも低価格化され、一部のマルチメディアパソコンには標準でモデムがついてくるようになっていった。
    需要が増えればそれに応じて様々な企業が参入してくる。
    まさに、雨後のタケノコの様にISPも次々と設立されていく事となった。

    199502
    1995年頃のISP、まだ数えるほどしかなかった。

    そしてライバルが増えれば料金が下がるのは当然、徐々に従量課金と上限を定めた固定料金のプランが出てくる様になった。
    パソコンメーカーやソフトメーカー、どこでもISP事業を始める時代となる。
    パソコンメーカーやソフトメーカーも挙って参入をし始めた。
    パソコン通信時代を乗り越え、インターネットでも一定の成功を納めている富士通はニフティーサーブをパソコン通信を続けつつ新しくinfowebを始めていく。
    ニフティーサーブもインターネットへの接続サービスも行い始めるが、当初の利用料金はとてもじゃないが競争力があると言えるものではなかった。
    同じくパソコン通信を行っていたNECはパソコン通信サービスPC-VANとISPとして新しくmeshを起ち上げてユーザーの獲得を狙った。
    1996年にはパソコン通信の利用者減から二つのサービスを統合し、新しくBIGLOBEとして事業を開始し、現在に至る。古くから残るパソコンメーカー系ISPである。
    富士通も1999年にinfowebとニフティーサーブを統合して@niftyとして生まれ変わった。
    1995年から1996年に掛けては、多くのISPが誕生すると同時にパソコン通信時代の事業見直しも多かった。Asahi-netは1994年の段階でパソコン通信事業からISPへと方向性を換えている。
    1995年から1998年頃まではISPの誕生ラッシュであった。
    通信会社もソフトメーカーもISP事業を起ち上げた。ソフトメーカーといっても大企業ではなく中小企業のシステム屋等が副業の様にISP事業を始めることも多かった。
    二次プロバイダーというIPX(IPエクスチェンジ、ISPなどの相互接続ポイント)に直接は繋がってない小規模のプロバイダーとして地方都市や、地元密着サービスを展開していた。
    当時のインターネット人口を考えると明らかに過剰な数のISPが誕生していった。

    199602

    わずか一年足らずでこのように多数のISPが現れた。

    そして淘汰の時代へ

    ダイヤルアップの時代は各家庭までの通称ラストワンマイルが低速であり、ISPのバックボーンが低速であってもある程度は賄えていたが、1999年頃から始まるブロードバンドと言われる時代になると低速バックボーンではどうにもならなくなってきた。

    image
    採算ベースが上がり中小のISPでは体力的に厳しく、淘汰の時代へ移って行った。
    バックボーンの強加をしないと加入者は離れていくがバックボーンの維持にはどうしても多額の資金が必要となる。
    加入者も余り多くない地方の中小企業ISPは廃業や事業の譲渡などが増えていき、淘汰される時代へと移行していった。
    そんな中には白物家電を扱う家電メーカーが立ち上げたISPも少なくなかった。

    家電系ISP達

    元々自社で独立した回線を持っている企業は、そのインフラを生かしてISP事業に参入してきた。
    松下、ソニー、三菱、三洋等、大手メーカーは挙ってISP事業を起ち上げていった。
    松下はhi-ho、ソニーはso-net、三菱がDTI、三洋はSANNETとして発足していった。
    各社は自社販売のパソコンやデジタル製品にもサインアップ可能なCDやツール、申込書などを添付し少しでも加入者を増やそうとしていた。
    しかし、前述のニフティやビッグローブなどに比べてその会員数は伸び悩み、現在ではほとんどが事業の売却をしている。
    そんな中でも家電系ISPで一番成功したのはso-netだろう。
    so-netはソニーの完全子会社ではなくなり、ソニーの名前を使わなくなったが独立したISPとして確立されており他社に比べて成功している。

    imageキラータイトルだったPostPet

    これは、初期のPostPetブームやwebガジェットとして利用できるハーボットなどのサービスでユーザーをつかんだのも理由だろう。
    ADSL普及時に突然イーアクセスと手を切ってアッカの契約だけに絞ったりしたのも今では懐かしい話だ。
    家電ISPはほかのメーカーは散々なものだ。
    hi-hoやDTIは事業売却、SANNETも細々と事業を続けるに留まっている。

    ISPの話はまだまだ尽きないが

    現在では、通信会社大手のNTTコミュニケーションズが運営するOCN、Yahoo!BBなどが最大手ISPであり、会員数はOCNが800万人を超えているという。
    しかし、固定回線を利用した会員数は頭打ちで、乗り換えや回線の切り替え(ADSLから光への変更など)を契機にしたものがほとんどだ。
    この流れは今後も続いていくことだろう。
    特に都心部では移動体通信が増えてきておりこれから先はISPは携帯電話ともシェア争いをしていかなければならなくなりそうだ。
    今後も統合や淘汰が続くであろうISP、未来は決して明るいものではない。

  • iOS5で登場したiCloud、そもそもCloudってなあに?

     

    こんにちは、tknriiiiです。
    iPhone4sのリリースから1か月近くがたちました。
    皆さんはもう慣れましたか?
    iPhone4から乗り換えた人はそれほど違和感無いでしょうが、Androidから乗り換えた人、ガラケー(従来型フィーチャーフォン)から乗り換えた人はiOS特有の操作などに戸惑っていませんか。
    私はiPhoneを持たない人間なのですが、iPod touch(第四世代)を利用しているので、電話の機能などはありませんがiOSを利用しています。
    iOSも4と5では見た目はあまり変わりませんが、中身は結構変化があって興味深い機能が盛りだくさんとなっています。
    その中でも一番の売りといえるのがiCloudというものです。
    これは、iPhoneやiPad、iPod touchなどのアップル製品の中身を同期させてどのデバイスでも同じ環境にして利用できるという複数の端末を利用している人にとっては大きなメリットがある機能です。
    また、パソコンにもソフトを入れることで一部を同期させることもできます。
    その名称にあるCloud、これはどういう意味なのでしょうか。
    今回はクラウドコンピューティングというこれから先、主流となって行く仕組みについて簡単に書いてみましょう。

    クラウド?雲?何でそんな名前なの?

    クラウドとは、英語の「雲」や「曇り」などの意味を持っています。
    クラウドコンピューティングという名称がつけられたのは数年前、Googleなどが言いだしたのが語源と言われています。
    ひと言で言ってしまえば「利用者がサーバーなどを見えない、見る必要が無くデータのやりとりを行える」というコンピューターシステムです。

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    ユーザーはあらかじめ設定されている端末を利用すれば、サーバーからデータを落としているという意識すらなく利用が可能なので、専門知識が無くとも安易にさまざまなことが可能となります。

    クラウドコンピューティングってそんなに新しい仕組みなの?

    現在もよくあるコンピューターシステムにクライアントサーバーモデルというものがあります。
    データを一括で集中管理し、つながっているクライアント(利用者)のパソコンはデータを決められたサーバーへ保存することで、ほかの利用者も同じデータを利用することができる。

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    このクライアントサーバーモデルから更に進んだのがクラウドコンピューティングと言うもので、基本的にはクライアントサーバーモデルの発展型といえます。
    ですから、新しい仕組みというよりは、更に使い勝手をよくした、改良発展型のシステムであるという方が正しいかもしれません。
    クライアントサーバーモデルであった問題点を解消でき、さまざまなメリットがあることからクラウドコンピューティングへの移行が取り上げられています。

    クラウドにすることによるメリットとデメリット

    クラウドコンピューティングを利用することでのメリットは

     

    1.データの一元管理が容易である(クライアントサーバーモデルでも同様)
    2.利用者が意識すること無くクラウドコンピューティングを利用できる。
    3.インターネットに接続できる環境であれば、場所を問わずに利用が可能。
    4.セキュリティー事故が発生しづらくなる。

     

    簡単にあげてみたので、一つずつ説明をしていきたい。
    データの一元管理に関しては、言うまでも無い。
    クライアント側にそれぞれデータを持っていると、中身が異なるファイルがいくつも作られてしまう。
    一元管理をしていない簡単な例で言えば、Aさんがデスクトップで作成した見積書とノートパソコンで作成した見積書で中身が異なる。という事例も発生する可能性がある。
    データの一元化はコンピューターシステムを使う上でとても大切なこと、今までもできていたことだから、できなくては困ることでもある。

    利用者が意識することないと言うことは、複雑な操作手順を覚える必要がないと言うことにつながります。
    利用者のスキルに依存することが無くなるため、操作ミスによるデータの喪失も少なくなるでしょう。

    最も重要なメリットとしては、その次に挙げられる場所を問わないという部分だろう。
    インターネットにさえつながれば、データのやりとりができる。
    ということは、簡単に言えば自宅でも仕事ができる人が増えたり、時間にとらわれずに仕事をすることもできる、これからの仕事のあり方を変えていく可能性があるというわけです。
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    もちろん、旅行中であっても納期間近だったことを忘れていても、インターネット接続環境とクライアントがあればいい。
    高速移動通信、つまりパケット通信が高速化している事から、外でも仕事、家でも仕事、どこでも仕事ということもできるようになるでしょう。
    いや、そこまで仕事をしたいとかそういうのはとりあえずおいとくとしてですよ。

    そして、最後のセキュリティーの問題に関しては、データをクラウド上においておくことで、クライアントにデータを置く必要が無い。
    ファイルを開くのもクラウド上から開き、保存もクラウドへ。
    クライアントにデータが残らないことから、万が一にも盗難や紛失があった場合であっても、データは残っていません。
    なので、個人情報流出などの危険性をもった業務を行う上では大きなメリットとなる訳です。

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    デメリットとしてあげられるのは、クラウドコンピューティングを委託している業者などがつぶれた場合、データの保証も無く、サービスの再開も不可能となることでしょう。
    つまり、「突然何もかも使えなくなる」という事があり得ます。
    ちょっと怖いですね。

    アップルのiCloudは

    今まで簡単に説明した内容に加え、今まであったmobile meの機能も取り込んでいます。
    mobile meは、万が一iPhoneなどを落としたとしても、リモートでロックを掛けたりデータのワイプ、つまり消去を行なうこともできます。
    携帯電話の紛失は持ち主の個人情報だけではなく、そこに記憶されている友人知人、仕事仲間などの情報すべてが流出する可能性があります。
    特に仕事でつきあいのある相手に対しては、自身の管理能力を問われることも考えられる重要な事です。
    また、電波が生きている状態であれば、大まかな位置はわかります。
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    これも情報の流出を防ぐという意味ではクラウドの一環かもしれません。

    中に何が入っているのかわからない怪しげな…

    クラウドはユーザーが意識せずに使えると言うことは、裏で動いているプログラムもわからないまま使う事となる。
    某アニメの様に言うなれば「世界中の数千万台のiPhoneは中に何が入っているのかわからない怪しげなソフトで今も稼働中って事だ。」
    という感じだろうか。

    クラウドは確かに便利だろうが、危険性もはらんでいることを忘れてはいけない。

    ものすごくざっくりとご紹介しましたがいかがでしょうか。
    別に新しい機能だからといって構える必要はありません。
    クラウドは構えることなく使えるのですから。

    それではまた。