まだ見ぬ君のスマートフォンへ〜消えゆくガラスマの灯火

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スマートフォンが一般的になってからすでに4年近く、多くの人が使うようになった。
一方で日本メーカーが出している従来型ケータイの機能を搭載した通称ガラスマはシェアを取れずに縮小傾向となっている。日本ではiPhoneだけが異常に売れて、他のスマートフォンが売れないという市場が形成されており、多くの日本メーカーが苦戦をしいられている。
そもそもガラケーとは何だったのか、ガラスマは必要のないものだったのか、市場を失いつつあるガラスマについて考えてみたい。

ガラケー機能が必要だったのか

多くの日本メーカー製品は今までのガラケーにあった機能を搭載させ、今までのガラケー市場をそのまま移行させようと目論んでいた。また、それが市場の望むものであると、日本市場という特殊な場所ではそれが正解であろうと思っていたようだ。
もちろんそれだけでは無く、ガラケー機能は日本で生まれた文化ゆえに日本メーカーが得意な分野なので差別化しやすいところでもある。その差別化を求めていた人たちと求めていなかった人たちに分かれてしまったのがメーカーの悲運であり、求めていなかった層を甘く見ていたのもメーカーの誤りだった点だろう。
そう、そもそもガラケー機能を求めていた人たちは、ガラケーで十分に実用レベルなのでわざわざ買い換える事がない。そして、買い換えるにも費用が高くつく事からそのまま継続利用する層を作ってしまった。
そして、ガラケー機能を求めていなかった人はiPhoneなどのグローバルモデル(通称グロスマ)へとどんどんと流れて行った。ガラケー機能で必要のないおサイフケータイ機能やワンセグなどを気にしない人たちや、ガジェットとして有効利用を考えていた人たちにはガラケー機能なんて単なるおまけでしか無かった。
なくてもいいものを必須にして売りさばいていた事がここに来て仇となったのかもしれない。

悪い印象はなかなか消えないもの

日本メーカーが作ってきたガラスマはグロスマに比べてスペックが低く、その割に価格は同等かやや高いというよくわからない値付けになっていた。ただでさえスマホにすることで毎月の維持費が上がるのに、買ってみたらろくに使い物にならなかったなんてことも少なくない。
しかも、割賦で購入しようものならば、2年間は機種変更が困難な事になる。はっきり言って苦痛以外の何物でもない。特にこの傾向は第一世代と勝手に位置付けている、シングルコア、メモリ256MB程度、液晶サイズハーフVGA(320×480)時代に多く、これらに買い替えたユーザーが苦痛を強いられた事で、日本メーカーの印象が大きく低下した。結果として、第一世代を買ったユーザーは国産メーカーを避け、iPhoneなどへ移行しそれらを使ったユーザーがアンバサダーとなって日本メーカーの悪い点を指摘していくこととなる。
日本メーカーはいい端末を作れない。という評判は多く出て行き、逆に比較対照であったiPhone 3GSなどが評価を高くしていく。一度ついた印象はなかなか消えるものではない。

ガラスマのトラブルの多さ

ガラスマというのは、日本独自サービスを盛り込んだスマートフォンの事なのは再三言っているが、その影響からトラブルが多い。元々、リファレンスにないチップの搭載や制御を行い、ドライバを書いてアプリと連携させる。
これがトラブルの元になっているケースが結構あり、日本メーカーならではの昨日が逆にトラブルが多い機種であるという認識を出すことになってしまう。
この傾向は独自機能にて付加価値をつけようとすればするほど顕著に現れてしまい、特にトラブルが多いと言われているのが富士通の一部の機種とシャープで、頻繁にアップデートを繰り返している。
これは、端末メーカーが自由にシステムを改変できるAndroidだからこそ発生するもので、iPhoneはシステム領域へのアクセスがほとんどできないのでこう言ったことが発生しない。このあたりも日本メーカーならでは、というつもりが日本メーカーだからダメとなってしまう要因となる。

撤退が相次ぐ日本メーカー

2013年現在でスマートフォンを供給している日本メーカーは4社、その中でソニーエリクソンは元々外国でシェアがあったエリクソンを大本としており、ソニーがうまいこと技術を得られたいい例だ。日本で売れないミドルレンジの製品を成功させているのも注目するところだ。
ほかには日本の携帯電話黎明期から続ける富士通、シャープ、そしてDDIの元親会社として携帯電話やPHS市場にも参入している京セラ。
NECはつい先日撤退を発表したところだし、Panasonicも今年の冬モデルは発表しないことを表明した。それ以前にも、東芝は富士通に事業を事実上売却、CASIOはNECに国内事業を売ったが、そのNECも撤退。国外ではG’zOneを展開しているが、これも同時に終了となる。そのCASIOと合弁会社を作っていたが、一足先に撤退したのが日立、スマートフォンの普及前に撤退している。三菱や三洋などもスマートフォン誕生以前に撤退している。
もはや、日本メーカーのスマートフォンは存在価値を失っているとも思えるが、その要因の一つとして海外メーカーの出すスマートフォンがガラスマ化していることもあげられる。

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