アメリカで抗議活動なども行われているSOPA、Stop Online Piracy Act。
簡単に言ってしまえば、オンラインにある著作権法違反に当たるものを排除しようということだ。
さらに、それら違法コンテンツを持っているサーバーに対してDNS(*1)から排除を行おういうものだ。
これらの法案がここまで問題となっているのはいったいなぜなのだろう。
少しだけこのSOPAについて考えてみよう。
違法コンテンツ、著作権違反に当たるコンテンツを不法に配信している行為は今までも長い歴史がある。
(*1) DNSとは、ドメインネームサーバの略称で、IPアドレスとドメインつまりwww.yahoo.co.jpなどを紐付けを行う仕組み。 これがないと一般的にはインターネットアクセスが困難になる。 |
インターネット普及期にあっても、無料のウェッブサイト(無料ホームページサービス)を利用して動画や漫画などをダウンロードさせる人は多かった。
時代は流れ今ではCloudや大容量ストレージ、ブロードバンドの普及によりDVDを丸ごとダウンロードさせることなども可能となってしまった。
こうした違法ものを扱うのがそもそも悪い、ならばそれを改めない業者(サービス)は丸ごとインターネットから締め出してしまえ。という少々強引な法案がSOPAである。
権利者からしてみれば、利益を生み出せるコンテンツを違法に配信されてはたまったものではない。
法案に賛成しているのは大半がそういった権利者たちだ。
著作権法違反に当たるコンテンツをどうやって調べるのか、簡単にいえば検閲するわけだ。
あなたは何をしているんですね、ということを調べられながらサービスを利用する。中国ではないのだから、と思っているかもしれないが、この法案が完全に通った場合にはこういった検閲が違法ではなくなる。
極端な話、エロサイトみているのを監視されるかもしれない。もっとも、それ自身が違法でなければ何があるというわけではないのだが。
しかし、情報管制を行うことは表現の自由に触れることになるという意見も多い。
また、違法とみられるコンテンツを管理するのはユーザーではなく企業側の問題とするようになっている。
たとえば、flickerに私が(あまり興味がない)AKB48の誰かの画像を乗せたとする。それは肖像権の侵害であって、違法と見なされる行為だ。
それをチェックするのは企業側、つまりflickerでやるべきこととされる。
これも無茶な話だ。毎日膨大な量がアップロードされるflickerでは一枚一枚の画像をチェックすることは困難だ。
SOPAが通ればこの無茶を強いられることになる。おそらくはflickerはその負荷に耐えられずに閉鎖することになるだろう。
さらにこの法案ではもう一つこういった不法行為を行うサイトをDNSから締め出そうとしている。
DNSから締め出されるということは、ドメインが利用できなくなる。たとえば、www.youtube.comと打ってもページが表示できません。となってしまう。
IPアドレスからのアクセスは可能となるものの、大規模なサイトでは1つのIPアドレスを使っているわけではない。
Yahoo! Japanなどは10数個のIPアドレスを利用している。そして、それぞれに役割を割り当てていたり、負荷分散を行っている。
仮にこれらのサイトがDNSから締め出されてしまえばインターネットの基本的な仕組みが破壊されるといっても過言ではない。
また、それに乗じてなりすましサイト(フィッシングサイト)が出てくる事も容易に想定できる。
膨大な数があるDNSをすべて管理することも難しいことから、本当に意味がある行為なのかどうかは疑問符が残ってしまう。
なりすましによるフィッシング詐欺などが発生した場合、誰が責任をとるのか。それも明確とはいえない。
法案はアメリカ国内でのみ適用される。
かといって、アメリカ国民関係するわけではない。アメリカにサーバーを置く各社が影響を受けてしまう。
今まで国外サーバーだから違法ではない、といっている企業については方向転換を余儀なくされる可能性がある。
中でも2ちゃんねるはその中でも大手といえるだろう。
玉石混淆の2ちゃんねるはアメリカにサーバーが置いてあるため、法案が通れば影響を受ける可能性が強い。
先日も問題が起きたmegauploadやfilesonicなどのファイル置き場、画像や動画を公開できるようなサイトではほぼすべて何らかの影響を受けるといっていいだろう。
結局のところ、一部の不正ユーザーのために利用者全部が規制されるという腑に落ちない結果になっているだけに過ぎないのだ。
SOPAは1月24日に動きがある予定だったが、見送られてこれからもしばらくはもみ合いが続くだろう。
クラッカー集団であるanonymous(元々匿名という意味)も各所に攻撃を仕掛けており、特にこの法案に賛成している企業に対しては強硬手段にでている。
まだ油断を許さない状況ではあるが、できることならば、自由なインターネットを破壊する行為はやめてほしい。
一ユーザーとしてそこは切に願うばかりだ。